冬が終わり春到来。いよいよ桜の季節となりました。
今年もついに新茶の芽が出はじめる時期です。
お茶農家さんの一年間励んできた茶園管理の成果が、実りはじめるころでしょうか。
1年のうちで茶摘みができるのはほんの2週間程度。
(二番茶以降も摘まれる方はもう少し長いですが)
玉露や碾茶など、一番茶だけしか摘まない場合は、茶摘みは年に一度きり。
緊張して眠れない農家の方もいらっしゃるんじゃないかなあとも思います。
そしてこの時期、茶園管理で眠れないほど神経を使うのは、
「凍霜害」です。
凍霜害とは?
凍霜害とは、晩春から初夏のころに降りる季節外れの低温障害です。
寒冷な高気圧が日本列島を通過するときに発生しやすくなり、茶芽の温度がマイナス2℃以下になると発生し、新芽が枯死してしまいます。
茶株面の温度は1.25~2mの高さで測定される「気温」より3~5℃低く、さらに茶芽の温度は株面より2℃も低くなります。
そのため、夜間の最低気温が3~5℃以下になると翌朝は凍霜害に注意が必要です。
3月末~4月上・中旬のころ、茶の新芽が芽吹きはじめる時期の凍霜害はかなり危険です。
そもそも茶の木は寒さに強い植物で、冬になると耐寒性が増し氷点下の気温にも耐えることができます。
しかし、春になると耐寒性も弱まり、軽度の冷え込みでも被害に遭ってしまいます。
夜間によく晴れて雲がなく、風もない静穏な夜で、夕方の湿度が低めの時は注意が必要です。
夜間に風があるときは被害は少なくなります。
凍霜害は、茶葉の品質を著しく低下させ、ひどい場合は茶摘みができないこともあります。
そのため、この時期の農家さんは、天気予報に注意しながら、霜が降りそうな夜は、凍霜害対策として設置されている「防霜ファン」がきちんと稼働しているかを、寝る間を惜しんで茶畑に出向き確認されています。
少しでも被害を少なくするために尽力されているわけです。
一杯のお茶の向こうに、お茶農家さんの苦労があるということですね。
感謝・感謝です。
茶園で見かける『せんぷうき』!?
茶畑の中に点々と設置された背の高い『せんぷうき』を見かけたことがある方も多いことでしょう。
私も昔茶園を訪れた際にせんぷうきがたくさんある!と不思議に思ったことがあります。
この『せんぷうき』は、『防霜ファン』と呼ばれる、遅霜対策として設置されている機械です。
夜間にこの防霜ファンが上層の暖かい空気を下層に吹き降ろすことで、茶株面にできた冷たい空気の層をかくさんし温度を上げます。
しかも、株面の温度を計測して自動運転・停止するという優れものです。
銅線泥棒現る!
今はあまり聞きませんが、茶園に設置された「防霜ファン」と「電柱」をつなぐ”銅線”ばかりを狙って盗む泥棒がいました。
人気のない山間部やたくさん設置されている茶園などを狙って。
銅線集めて転売でもしたのでしょうか。本当に悲しいニュースでした。