お茶の知識

地理的表示(GI)保護制度に登録された八女伝統本玉露って知ってる?

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地理的表示(GI) マーク
大きな日輪を背負った富士山と水面をモチーフに、日本国旗の日輪の色である赤や伝統・格式を感じる金色を使用し、日本らしさを表現しています。

地理的表示(GI)保護制度ってなに?

地域には、伝統的な生産方法や気候・風土・土壌などの生産地等の特性が、品質等の特性に結びついている産品が多く存在しています。これらの産品の名称(地理的表示)を知的財産として登録し、保護する制度が「地理的表示保護制度」です。
 平成26年6月18日に成立し、平成27年6月1日より施行された特定農林水産物等の名称の保護に関する法律(地理的表示法)に基づき運用されています。

表現が難しいところもありますが、フランスを例にあげると、シャンパーニュ地方で作られた発泡性ワイン、かつフランスのワインの法律(AOC法:原産地呼称管理法)に規定された条件を満たしたもののみ 「シャンパン」と名乗ることができるように、その地域で生産された付加価値あるものをブランド化し保護していくような制度です。

地理的表示(GI: Geographical Indication) とは?

農林水産物・食品等の名称で、その名称から当該産品の産地を特定でき、産品の品質等の確立した特性が当該産地と結びついているということを特定できるものです。地理的表示として登録が認められた産品には、地理的表示と併せて登録標章(GIマーク)を付すことができます。

日本茶では「八女伝統本玉露」「西尾の抹茶」が登録されている

八女伝統本玉露はどんな特性があるの?

玉露は緑茶の一種ですが、煎茶と異なり、茶葉の収穫前に稲わらなどの天然資材で日光を遮る被覆を施すことで「覆い香」といわれる香気成分の含有量が高い茶葉が生産され、味は濃厚で非常にうま味が強く、まろやかでこくがあります。
その中でも伝統的な技法にこだわってつくられている最高品質の玉露が八女伝統本玉露です。
一杯の八女伝統本玉露は、至福の時間をもたらしてくれます。
うま味とこくのある茶葉は、お茶を淹れた後も酢醤油などをかけて食べることもできる程の絶品です。

八女伝統本玉露摘み
手摘みされる八女伝統本玉露

地域との結びつきは?

立地条件がもたらす朝夕の気温差が朝霧の発生を促し、うま味成分が多く蓄えられるため、高品質な茶が生産されます。稲わらなどの天然資材による棚被覆(間接被覆)や自然仕立て、手摘み作業といった生産方法を110年以上守り受け継いでいます。

玉露栽培の様子1
玉露栽培の様子

品質にこだわり続けた伝統技法

八女地域の玉露栽培は明治時代にさかのぼります。
当時、煎茶が広く栽培されていましたが、その取引価格は低く、より付加価値の高いお茶をつくりたいという生産者の想いから、玉露の生産が始まりました。
その後、続けられてきた伝統技法、茶樹の枝を剪定せず自然に芽を伸ばす「自然仕立て」、茶樹を16日以上稲わら等の天然資材で覆う「棚被覆」、そして年に1回、丁寧に新芽を摘む「手摘み」によって品質の高い茶葉が作られます。
このような伝統的な茶葉の栽培方法と産地で長年培われた高い製茶加工技術が融合し「八女伝統本玉露」はつくられています。

玉露栽培の様子
玉露栽培の様子

「八女伝統本玉露をのこさなければ八女茶は生き残れない」
産地の危機感から生まれたブランド

八女地域の玉露は、生産が開始された当時から中山間地域を中心に茶葉の栽培が行われていたため、他産地に比べて生産量が少なく、全国的な知名度が高まらない状態が続きました。
こうした中、八女が産地として生き残るには、他産地の品質を圧倒する高品質の玉露を生産する他ありませんでした。
昭和50年代以降になると他の玉露産地では機会を利用した効率的な生産が進みますが、八女は品質へのこだわりと伝統的な技法を頑なに守り続けました。
その結果、平成7年以降全国茶品評会の玉露部門で農林水産大臣賞をほぼ毎年受賞するなど高い評価を得るようになりました。
一般的に、茶生産者と仕上げ加工・販売をする茶商(茶販売店)が一体となってブランド化に取り組むことは難しいと言われていますが、八女では茶生産者と茶商が「八女伝統本玉露をのこさなければ八女茶は生き残れない」という危機感を共有、平成27年5月、両社によって八女伝統本玉露推進協議会が結成され、八女市や福岡県も後押しする生販官一体のブランド推進体制ができあがりました。

産地の今後の地域の取り組み

協議会が中心となって、高価格でも確かな品質を求めているお客様へ、そして海外市場へ、本物の緑茶を品質の証をもってお届けし、その一方で、新しい玉露の飲み方でもある「水出し玉露」などの提案も実施予定とのことです。
こだわり続けた八女の新たなチャレンジが始まりました。
登録で約束した品質基準を自らに課すことで八女伝統本玉露への信頼を揺るぎないものにする決意です。

地理的表示(GI)登録産品には何がある?

平成27年12月22日 ~ 令和元年6月14日 登録分

  1. あおもりカシス
  2. 但馬牛
  3. 神戸ビーフ
  4. 夕張メロン
  5. 八女伝統本玉露
  6. 江戸崎かぼちゃ
  7. 鹿児島の壺造り黒酢
  8. くまもと県産い草
  9. くまもと県産い草畳表
  10. 伊予生糸
  11. 鳥取砂丘らっきょう / ふくべ砂丘らっきょう
  12. 三輪素麺
  13. 市田柿
  14. 吉川ナス
  15. 谷田部ねぎ
  16. 山内かぶら
  17. 加賀丸いも
  18. 三島馬鈴薯
  19. 下関ふく
  20. 能登志賀ころ柿
  21. 十勝川西長いも
  22. くにさき七島藺表
  23. 十三湖産大和しじみ
  24. 連島ごぼう
  25. 特産松阪牛
  26. 米沢牛
  27. 西尾の抹茶
  28. 前沢牛
  29. くろさき茶豆
  30. 東根さくらんぼ
  31. みやぎサーモン
  32. 大館とんぶり
  33. 大分かぼす
  34. すんき
  35. 新里ねぎ
  36. 田子の浦しらす
  37. 万願寺甘とう
  38. 飯沼栗
  39. 紀州金山寺味噌
  40. 美東ごぼう
  41. プロシュット ディ パルマ
  42. 木頭ゆず
  43. 上庄さといも
  44. 琉球もろみ酢
  45. 若狭小浜小鯛ささ漬
  46. 桜島小みかん
  47. 岩手野田村荒海ホタテ
  48. 奥飛騨山之村寒干し大根
  49. 八丁味噌
  50. 堂上蜂屋柿
  51. ひばり野オクラ
  52. 小川原湖産大和しじみ
  53. 入善ジャンボ西瓜
  54. 香川小原紅早生みかん
  55. 宮崎牛
  56. 近江牛
  57. 辺塚だいだい
  58. 鹿児島黒牛
  59. 水戸の柔甘ねぎ
  60. 松館しぼり大根
  61. 対州そば
  62. 山形セルリー
  63. 南郷トマト
  64. ヤマダイかんしょ
  65. データ参考:愛知県HP
  66. 岩手木炭
  67. くまもとあか牛
  68. 二子さといも
  69. 越前がに
  70. 大山ブロッコリー
  71. 奥久慈しゃも
  72. こおげ花御所柿
  73. 浄法寺漆
  74. 菊池水田ごぼう
  75. つるたスチューベン
  76. 小笹うるい
  77. 東京しゃも
  78. 佐用もち大豆
  79. いぶりがっこ
  80. 大栄西瓜
  81. 津南の雪下にんじん
  82. 善通寺産四角スイカ

参考:農林水産省HP
http://www.maff.go.jp/j/shokusan/gi_act/register/index.html
地理的表示産品情報
https://gi-act.maff.go.jp/

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